トランプ氏はどこで強くなった?
アメリカ史上まれに見る物議をかもしながらの驚きの大統領就任を果たしたトランプ氏。少年時代、陸軍幼年学校の1つであるNYMAに入れられた。18歳だった1964年にNYMAを卒業。だが成績にはわからない部分もあり、一部記者はNYMA時代の調査を始めている。
トランプ氏が大統領に就任して2ヶ月が経過したこの時期、ガステル学術部長は留学生を呼び込むため、ロシア(トランプ氏の支持者が大勢いる)を訪れた。
トランプ氏の性格、自制心、NYMAに集まった注目、ロシアでのトランプ氏の人気などについて、ガステル学術部長に聞いた。
-トランプ氏が在籍していた頃のNYMAはどんな感じでしたか。
トランプ大統領は、NYMAでの経験について、とても厳しかったと書いています。当校が大統領就任を祝福したら、「学生を強く育て続けてください」と言っていました。保護者は立ち直りの早い、強い子どもになってほしいと望んでいます。NYMAでは、子どもの粘り強さと立ち直りの早さを育てています。
ドナルド・トランプ氏(左から2番目)、1964年=写真提供:ニューヨーク軍事アカデミー
-トランプ氏の性格にNYMA時代はどれほど影響しているとお考えですか。
個性の強い子どもは、従来型の学校で問題を抱えることがあります。学校はふるまい方を強制しがちなので、常に葛藤が存在します。トランプ氏は思春期前から強い個性の持ち主でした。当校は生徒に、自制心を持つこと、自分の長所と短所に目を向けて対処すること、また成功できる人生を定めることを教えています。
トランプ氏はしばらく、自制心のところで苦しんでいました。ですが、NYMAだけでなく、その後の人生で成功できるよう、一部自制心を自分の中に取り入れることができたのです。成功のために自制できるように、自制心を鍛えたのです。これを行ったことで、やがて素晴らしいことを型破りな方法でできるようになりました。決まり切った方法でアメリカ大統領に出世したわけではありません。事業への取り組み方も異なっていて、大企業に入社せずに、自分なりの経営を一から構築しました。
-トランプ氏に対する教育で、その政治観はわかりますか。
トランプ氏が当校を卒業した時は、民主党員でした。その後、共和党員になったのです。ですから、トランプ氏の現在の哲学に当校が影響をおよぼしたとは言いがたいです。でもトランプ氏が自身の成功に当校を少しでも結び付けてくれているのなら、嬉しいですね。
NYMAのジョナサン・ガステル学術部長=アレクセイ・ニコラエフ撮影
-トランプ大統領はどんな生徒でしたか。
トランプ氏の成績が残っています。優秀だったので、共有できることを嬉しく思っていますし、トランプ氏も共有を喜んでいます。トランプ氏はさまざまな賞を受賞し、野球チームのキャプテンを務め、スタッフの一員となり、100人の生徒を率いていました。率いる役目に選ばれたのはわずか3人の上級生だけです。
リーダーに選ばれたということは、リーダーの潜在性を持っている、正しく導いてくれると信頼された人物として、当時数百人いた生徒仲間に認められたということです。リーダーが間違ったら、他の人の時間を無駄にするということになりますから。リーダーの成功はコミュニティの成功につながるのです。
-トランプ氏の当選はNYMAの志願者数に影響を与えましたか。
そうとは言えません。私が着任した2016年8月には生徒が7人おり、現在は45人に増えています。ですが、当選前に急増していました。もちろん、悪影響はありません。トランプ大統領の意見に賛同できるか否かは別として、大統領になれたということはすごいことですから。
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当選時に学校のイスに座っていた生徒は、大統領と同じイスに座っているかもしれないことに誇りを持っていますし、希望を与えてくれることです。「自分も何かできるかもしれない」と感じられることは、子どもたちにとって素晴らしい経験です。当校の卒業生が成功を収めるたびに、何らかの良い影響を受け、少し強くなれるのです。
-ロシアでトランプ氏の人気が高いことをどう説明しますか。
東ヨーロッパ全体で、強いリーダーシップ、保守的なマニフェストを掲げる民衆寄りのリーダーが好まれているようです。トランプ氏は昨年当選した民衆寄りのリーダーの一人として、多くの国で人気があります。
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