【LIVE REPORT】零[Hz]、LIVE TOUR 2025 「Nebul∀」を完遂!グランドフィナーレで見せた“DYSTOPIA”の先にある理想郷。「零[Hz]の、このバンドの物語はまだまだ続きます」
零[Hz]
ZEROHZ LIVE TOUR 2025 「Nebul∀」 SAGA2 FINAL ~DYSTOPIA~
2025.10.23(木)LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
零[Hz]にとって初となるLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)のステージは、極めて重要な意味を持つ一日だった。その理由の一つは、5月から〈SAGA 1〉〈SAGA 2〉と段階を経て行ってきた大規模ツアー「Nebul∀」の集大成を見せる日であったこと。しかもこのツアーでいう“大規模”というのは長期及び公演数が多いということだけではなく、全行程の初日には「ZilemmA」、〈SAGA 1〉の最終日には「fetus」と転機となるタームにそれぞれ意味深なタイトルを掲げ、それに伴い新曲も発表しながら展開してきたスケールの大きさにあった。言わばこれは、2025年のメインイベントとして零[Hz]が描き出した壮大な物語。その最終章こそ、10月23日に行われたLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)公演であり、そこに名付けられた「DYSTOPIA」が指すものとは一体なんなのか……その物語の結末を確かめるべく、会場へと足を運んだ。
ライヴは、文字通り『DYSTOPIA』からスタート。ツアー終盤の10月以降から各地で披露されてきた最新曲だが、著しくバンドの攻撃性が増強している印象を受けた。メンバーの足元を覆うロースモークの演出も手伝って物々しい空気を醸し出し、テクニカルなバンドサウンドが織り成す音圧と、シャウトを交えたROYの歌声が生み出す覇気が会場を満たしていく。零[Hz]がホールでライヴを行うのはこれが初めてではないものの、ホール特有の重厚な雰囲気に見事にマッチするほどの存在感を、今の彼らは確実に纏っている。
以降、「Nebul∀」ツアーの総括ともなれば、今ツアーの間に生み出された全5曲の新曲を網羅したメニューが組まれていたのだが、中でも早々に登場したのが『ZilemmA』だった。演奏回を増すごとに板についてきたエキゾチックな世界観を堪能させると、「渋公、始めようか!」というROY(Vo)の一声へと加勢するようにRYOGA(Dr)のドラムが鳴り響き、『Aim for HEAVEN』へと突入。ステージバックに降りてきたスクリーンにライヴカメラが追うメンバーの姿が映し出されると、ライヴ冒頭にあった緊張感に光が差すようなグルーヴが広がっていった。
そして、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)という会場で行うライヴが持つ“重要な意味”はツアーの集大成というだけに留まらないことに気づかされたのが、ライヴ中盤でのこと。かつて、高校生時代にLeo(Gt)とTEIKA(Ba)は“渋谷公会堂”と名の付く会場に観客としてライヴを見に来たことがあるというエピソードや、多くの名だたるアーティストが立った“憧れの場所”に初めて足を踏み入れたのがステージに立つ側だったと感慨深そうに語っていたROYの様子も踏まえると、満を持して “渋谷公会堂”に立つというのはバンドにとって大きなファクトであった。だからこそ、Leoが奏でるアコースティックギターを交えた零[Hz]ならではのロックチューン『The DOPERA』だったり、『惡鬼招雷』『TRAUM』のように5人それぞれにスポットを当てることで内側から結束力を強調していく強みを発揮するといった、“零[Hz]が見せるこれまでの集大成”という楽曲がセットリストに組み込まれていたことも非常に意味を持っていた。さらに、人と人の繋がりを感じさせる熱のこもった演奏と歌声によって心を震わされる『叶えたい夢と、守れない君と』や『勿忘草』のように、切々と楽曲をプレイする姿に歌詞を重ねながらじっくりと楽曲を届けていく場面もまた、零[Hz]の真髄とも言える。
「1本1本、各地の“チームゼロヘルツ”のみんなとライヴを作り上げてきました。今日、集まってくれたたくさんの“チームゼロヘルツ”のみんなと、このツアーを終わらせていきたいと思いますので、最後まで楽しんでいきましょう!」(ROY)
ここまで転換を挟みながらも実に一息といった具合に展開して来たライヴも、ROYが扇動する言葉を伝えていよいよラストスパートへ。『fetus』では、ROYがRio(Gt)とLeoのもとに歩み寄りながら歌い、そこへ両者がギターソロを決めるといった場面も相まって、曲が持つ壮大感によって得も言われぬ“無敵感”を感じさせながら圧倒。ROYがハイトーンボイスのロングトーンを響かせた『HERO』では、TEIKAもベースソロで華を添えながら、アッパーチューンを続けてボルテージを押し上げていく。フロアに目をやれば、席などお構いなしにモッシュの波が揺れ、そんな白熱ぶりをみせながらも耳に届いてくるのは実直でブレのない演奏という絶妙なバランスで成り立つ零[Hz]のライヴ空間の心地よさを存分に発揮していた。
そして、ミクスチャーテイストの新境地を構築した『Mx.Clone』が疾走感を帯び、曲中に飛び出す“昔は良かったなんて”という回顧的なフレーズの場面ではROYがRioの肩を抱きながら歌う場面もあったが、“それでも僕は未来を生きたい”とすぐさま言葉が続くように、無論彼らの表情に憂いはない。むしろ、『DRESS HOMUNCULUS』で見せたラウドな一面のように、アバンギャルドな鋭いマインドしか持ち合わせていないといったところ。オーディエンスもヘッドバンギングの嵐が起き、バンドが作り出す熱気へ一糸乱れぬ思いで食らい付いていく“チームゼロヘルツ”が実に頼もしくもあった。
「ツアーファイナルだけど、零[Hz]の、このバンドの物語はまだまだ続きます。一緒についてきてくれよ、いいか!!」(ROY)
こうしてラストに披露されたのは、零[Hz]のコンセプトである“東京ミクスチャーロック”を確立させた『AXIZ』だった。先述したとおり、このライヴは「Nebul∀」ツアーの集大成であり、憧れの場所に立ったからこそ見せるべき“零[Hz]とは?”ということの集大成でもあった。自らのアンセムを堂々と披露したシーンはそれを一際強く印象付け、着実にこの先を感じさせたハイライトでもあったのだ。
アンコールでは、『トリップランド』を皮切りに、ROYが客席を練り歩きながら歌った『BAKEMONO carnival』で会場の熱は最高潮に。その狂騒ぶりはまさに、続いて披露した『Freedom? or Liberty?』の等身大の言葉で綴られた歌詞にもある“自由にやらせて頂きましょう”というフレーズの通りだった。そして、銀テープが宙を舞う中でメンバー5人の姿がモニターに分割して映し出された『SINGULARITY』で、しっかりとチーム感という零[Hz]の本質を見せつけたエンディング。しかし、メンバーがステージを去ってもなお鳴りやまないアンコールに応えて登場したダブルアンコールでは、「ラスト1曲、思いっきり暴れて帰りましょう」と再び『DYSTOPIA』を披露した。終演後には、TEIKAのバースデーライヴと、クリスマスライヴの決定。さらに、2026年1月より全15公演に渡る8周年記念ツアー「LIVE SIX AXIZ-2026-」もアナウンスされた。
「DYSTOPIA」とは、“反理想郷”を意味する。まさしく最新曲『DYSTOPIA』の曲世界や歌詞のフレーズにも暗黒世界を感じられる部分は、大いにあった。単純に考えれば、こうした節目の大舞台は“UTOPIA(=理想郷)”とされるのがセオリーだろう。しかし、零[Hz]はその逆をいった。ただしこれは、「ここを“DYSTOPIA”にする」といった挑発的な意味ではなく、“壊れゆく世界で私は生き続ける”という『DYSTOPIA』の中にある歌詞が一際光放っているように、逆説的な強さを描くためのものだったように思う。戦い抜いたその先に光を掴むための物語。零[Hz]は、これからも確かに強く生き続けていくはずだ。
Photo:かわどう / ゆうと。
Report:平井綾子
[SET LIST]
- DYSTOPIA
- ZilemmA
- Aim for HEAVEN
- TRINITY∴ONENESS
- The DOPERA
- 惡鬼招雷
- TRAUM
- 叶えたい夢と、守れない君と
- 勿忘草
- fetus
- HERO
- Mx.Clone
- DRESS HOMUNCULUS
- AXIZ
ENCORE
- トリップランド
- BAKEMONO carnival
- Freedom? or Liberty?
- SINGULARITY
ENCORE 2
- DYSTOPIA